厚生文教委員会視察:3日目 山形県米沢市

厚生文教委員会の視察3日目。最終日の本日は、山形県米沢市にある、市立米沢図書館とよねざわ市民ギャラリーで構成される複合施設「ナセBA」を訪問。図書館長から様々ご説明をいただきながら視察いたしました。
「ナセBA」は市民ギャラリーと図書館を併設した複合施設として、平成28年に会館。今年で10周年になります。1階がよねざわ市民ギャラリー、2階から上が市立米沢図書館となっています。愛称「ナセBA」はこの地を治めた名君・上杉鷹山公の有名な名言「なせばなる なさねばならぬ 何事も ならぬは人のなさぬなりけり」に由来し、BookのBとArtのAを組み合わせています。
現在の図書館は4代目。初代は財団法人「米沢図書館」として明治42年に開館し市に移管されたため、「米沢市立図書館」ではなく、あくまで「市立米沢図書館」との名称になっているとのこと。3代目の図書館が手狭で開架図書の数が少なかったため、中心市街地の再整備計画に伴う建設の際に、広く多くの本を目にし手に取ることができるように工夫されたそうです。もともと現在の「ナセBA」の地には市民が憩える広場があったため、建設については市民の意見が二分されたそうですが、いざ建設されると多くの市民に利用される施設になったとのこと。その後も完成までには、当初予定の敷地内にあった店舗の立ち退きがうまくいかなかったり、東日本大震災後の人件費・資材の高騰や大雪などで建設が遅れたようです。まさに「なせばなる」の精神で完成にまでこぎつけた印象でした。
図書館の目指す姿として「歴史に学び、今を生き、未来を創る市民の図書館」が掲げられ、特に貴重な郷土資料を生かす図書館の姿が地域特性を生かしたものであるとのお話でした。上杉家に伝わる文書をはじめ、藩校興譲館伝来の古典籍など、4万点に及ぶ古文書等の貴重な資料を保管し、研究や学習に提供しています。デジタル化した資料はホームページでも公開され、その影響か、上杉家を研究しているという中国の学生から資料の問い合わせもあったそうです。館内には郷土資料調査室を設置し、レファレンスカウンターに人を配置して対応。講座も、30-40年ほど続けられていて「ふるさと歴史、文学、古文書読解」などの講座が実施されています。
運営は「公益財団法人米沢上杉文化振興財団」が指定管理をしていて、指定管理になったことで有資格者である専門家が継続して業務に当たれるところが特長であると仰っていました。
子どもの読書活動にも力を入れており、7カ月健診時のブックスタートやお話会、読み聞かせ専用のスペース、県に3人しかいない絵本専門士がいて絵本の蔵書や活用が充実している、「本のきろく通帳」の展開など多くの事業が行われています。学校との連携も進め、自動車文庫「アタゴオル」が市内各地73か所を巡回しています。これは学校や学童に限らず、20か所を超える老人福祉施設やコミュニティーセンターにも読書の機会を広げています。
市民協働の取組行い、サポーター活動として「図書館サポーター」制度を設け、1年間有効となる登録制となっており、昨年度は24名の方が図書の修理や読み聞かせ、イベント補助、郷土資料デジタル化などに携わりました。また、高校生で夏休み限定の「ティーンズ・サポーター」制度も昨年度より実施。34名の高校生が参加し、おすすめ本のPOP作成などを行ったようです。
今後の課題として、入館者や貸出冊数の増加、変化する利用者ニーズへの対応、施設・アタゴオルの維持管理、デジタル化への対応、まちの賑わいづくりへの協力支援を挙げられていました。そして、「市民にとって魅力ある図書館」とは、館長ご自身の考えと断られつつ、「知識・情報の拠点であり、市民の求めに的確・迅速に応える」「余暇の充実、生涯学習の充実に寄与する」「居心地のよい図書館としての環境を整え維持する」「安全安心の場であり、丁寧な接客を心がけ、参加したい企画やイベントを手掛ける」等と語っていただきました。
東大和市でも、公共施設再編に伴い図書館を含めた複合施設について検討の話が出ていますが、大変参考になる事例として価値ある視察となったと思います。

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