総務委員会で行政視察
10月22日、23日の両日、議会の総務委員会による行政視察を行いました。
初日22日は、静岡県の地震防災センターと静岡県庁を訪問し、静岡県の防災対策について視察を行いました。
まず、午前中に地震防災センターを視察いたしました。館内には他地域からも多数の方が来館されており、外国の方も見えられていたそうです。東海地方は、東海・東南海・南海地震への危機意識が高く、かなり以前から防災対策に力を入れられています。この施設も平成元年に開館しています。
センターでは、館長から映像資料をもとに現在までの静岡県の防災対策について縷々お話がありました。開館以降も、阪神淡路大震災や東日本大震災等の激甚災害が起こっており、そうした状況の変化も展示等に反映されていました。津波に関する映像資料は分かりやすく、また東日本大震災当日の津波の模様を撮影したものも被災地の自治体の協力を得て公開していました。あらためてその破壊力の凄まじさを知る思いでした。館の方が強調されていたのは、自助・共助・公助の役割分担が大切であり、中でもまず自分の身は自分で守るということを強く意識して、家具転倒防止策をとる、家屋の耐震化をするなど自らできることを積極的に薦めていくことを訴えられていました。
午後には、静岡県庁にて県における市町への防災対策支援策、耐震改修促進計画や木造住宅耐震化プロジェクト(「TOUKAI-0」)について担当の方より説明を伺いました。静岡では、陸地が震源地となる直下型地震と海側のプレート境界型地震の両方について万全の対策をとる必要があり、建物の倒壊から津波対策、それに関連する様々な事柄までカバーしなければいけない事柄が多いようです。県民の方の意識も高く、自治会等を中心とした自主防災組織の結成率はほぼ100%で、住民加入率も95.3%だそうです。自主防災組織では、訓練としてDIG・HUGと共に自主防災組織の本部運営訓練ゲームというものにも取り組んでおられるとのことでした。
耐震改修も他地域よりは断然進んでいるようですが、それでも改修資金の問題や高齢者で消極的な方がおられるなど課題はあるようで、現在でも粘り強くプロジェクトを進めておられるようです。
ここでも自助・共助・公助の必要性を強調しておられました。今回の台風の災害でも、この3つの「助」が揃うことが減災には必要であることは明確です。すでに昭和50年代から、地震災害に対して策を講じてきた自治体の意識の高さを再認識いたしました。
2日目23日は、浜松市でファシリティマネジメントを中心とした資産経営の取り組みについて視察を行いました。
浜松市は、“平成の大合併”によって12市町村が合併をし、全国2位の広さを持つ政令指定都市になりました。そこで、12市町村にそれぞれ存在した公共施設のあり方が市政における課題となりました。こうした行政の資産をより効率的な形で運用し、あわせて財政面でも効果のでるような資産経営に必然的に取り組むことになりました。また外部からも保有財産の抜本的な見直しを求められ、タイミングが合致し、トップの判断によってこうした資産経営を担当する組織が立ち上がったようです。この組織は庁内横断的な組織として設置をされ、これまで各所管ごとに分かれていた公共資産のあり方をトータルに見直して利活用等していく方向性になりました。
こうした流れに対して、当初は庁内からもまた実際に公共施設等を利用する市民からも様々な反応があったようで、大方の理解を得られるまでにはそれなりの時間を要したようです。説得に際しては、資産に関するデータを構築した上で、そのデータに基づく客観的な数値を示し、今後将来にわたる財政負担の大きさを示すことが大きなポイントであったそうです。こうした説明の中で、担当者の方が「自立できる自治体経営」ということを強調されていたのが印象的でした。
今後、少子高齢化が進むことは確実で、国レベルにおいても、当然地方レベルにおいても人口・税収の減少が進むことは明白です。これに対して、現在は国からの補助などがありますが、いつそれがなくなってもおかしくは無い。そうしたことを想定して、今の段階から国を当てにしなくてもいいように、自立して経営をしていくための体質を身につけないといけない。決してドラスティックなことはできないが、自立する自治体となるためにこうした事業を進めていくことが必要ではないか、とのお話でした。この視察には市長も同行していましたが、この点については同様のお考えで賛意を示されていました。
データを作成し、当該資産の経営に関する方針を定め、施設等全般にわたって仕分けを行い、継続・廃止の別を明確にし、どのように継続していくか、また廃止をしていくかということについて評価を下し、実行に移していったようです。その結果、施設等の集約化に加えて財政的にも効果が現れてきており、平成26年度を目標として取り組みを着実に進めているとのことでした。
広さも人口も財政規模も、東大和市とはスケールが違いますが、将来的な市政運営に関わることとして大変参考になるものでした。